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流通情報学部の児玉徹教授のコメントが、本日夕方放送の関西テレビのニュース番組「News ランナー」の中で紹介されます:日本産抹茶の価格高騰とその影響について

流通情報学部の児玉徹教授が、関西テレビ報道局報道センターから、近年の日本産抹茶の価格高騰とそれが日本の茶産業?茶文化にもたらす影響について、インタビューを受けました。

そのインタビューの際のコメントの一部が、本日(2025年5月29日)の夕方16:50から放送される関西テレビのニュース番組「News ランナー」の中で紹介されます。




◆関西テレビ「News ランナー」
 放送日時:2025年5月29日(木)16:50~
 出演者:吉原功兼(メインキャスター)
     竹上萌奈(情報キャスター)
     谷元星奈(情報キャスター)
     他

(番組HPより)


<関西テレビからのインタビューの中で児玉教授が語ったことの趣旨>

現在、日本産抹茶とその原料である日本産てん茶の価格高騰が顕著に見られるようになっています。その背景には、抹茶に対する海外需要の増加と、その需要に供給が追いついていない現状があります。

抹茶に対する海外需要の増加は、抹茶?てん茶の輸出額の増加や、京都府宇治市などで見られる訪日外国人による活発な抹茶購入において見られます。訪日外国人による抹茶購入が集中したことで、茶店舗での販売用抹茶が品薄になり、抹茶の販売制限をかける店舗も続出しています。

日本産抹茶に対する海外需要の高まりには、抹茶を飲むことへの関心が海外で高まっていることや、抹茶を使用したスイーツ文化が世界の様々な国々で急速に普及していることが寄与しています。

他方で、こうした抹茶に対する海外需要の高まりに応じるだけの供給力が、高齢化と労働力不足に苦しむ日本の茶農家には備わっていないという現状もあります。

農林水産省が、一般的な煎茶の生産から抹茶(特に有機抹茶?有機てん茶)の生産へ転換することを日本の茶農家に促す政策方針でいることが報じられています。日本における茶の消費量や支出額は減少傾向が続いてきた中で、外需の高まりを見せる抹茶の生産へのシフトを促すことで、日本の茶産業の復活を目指すという国の動きは、必然的なものでしょう。しかし、そのことが実現するためには、栽培技術に関するノウハウの普及や、抹茶加工施設の拡充などに関する国のサポートが欠かせません。

外需に起因する日本産抹茶の価格高騰は、いつまでも続くことはありません。これまで日本から米国に輸出される緑茶には関税は課せられていませんでしたが、トランプ政権による24%の相互関税の発動は、米国における日本産抹茶に対する需要に、ネガティブな影響を与え得るものです。米国の茶市場における日本茶のライバルとなる中国茶には、より高い関税が課せられるため、そのことが、米国内における中国茶から日本茶への切り替えを促進する、という憶測も一部メディアで報道されていますが、憶測の域を出ません。

煎茶には常に一定の需要がありますが、日本全国の茶生産者における抹茶生産シフトが進んで、煎茶の生産量が減少すれば、煎茶の希少価値が高まり、煎茶の価格が上昇するということも発生し得るでしょう。

また、秋に収穫される茶葉からは、秋番茶がつくられてきましたが、一部では、秋番茶ではなく、秋てん茶をつくる動きも出てきています。なぜなら、そのほうがより高い収益につながるからです。こうした状況が拡大すれば、秋番茶の希少性が高まって、秋番茶の価格が上昇することも考えられます。また、ペットボトル茶に使用される茶の供給量も減少することで、ペットボトル茶の価格が上昇することもあり得るでしょう。

日本の茶産業が持続的に発展するためには、外需に頼るだけでなく、日本国内で、茶を飲む文化が発展していくこと、そして茶の産地ブランドの価値をしっかりと認めて、ワインの世界で見られるように、高い価値のある産地ブランド茶は高い価格で購入する、という価値観が消費者の側で根付いてくことが重要です。こうした消費文化が浸透することは、茶産地の発展に繋がり、若い人が茶づくりに挑戦する機運も高めます。

(実際に放映されるのは、上記コメントの一部を簡略化したものになります。)

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