世界に目を向けよう―ニュースを通して世界を知り、自分の言葉で語るゼミ 第32回 法学部で広がる未来の自分の可能性
世界では、日々様々なことが起こっています。私たちの日常とは一見関連のないように見える遠い場所の小さいニュースでも、実は日々の生活を変えるような重要な出来事につながるかもしれません。今回は「世界を知ることで自分を知る?自分の言葉で語る」というテーマで1年次のゼミの授業を行なっている、法学部の大塩先生にお話をお聞きしました。アメリカ研究を専門とする大塩先生のゼミではどのようなことを学べるのか、ぜひ最後までご覧ください。
――大塩先生はアメリカ研究がご専門とのことですが、1年生向けのゼミではどのようなことを行っているのでしょうか?
大塩:私の専門は、主に19世紀から20世紀にかけてのニューヨーク社交界や映像作品におけるニューヨークの描かれ方についてなのですが、ゼミではそれにこだわらず、学生それぞれの興味に合わせて授業を進めています。特に「外国に関連するニュースを取り上げて、自分の意見を述べる」ことを主軸にしてゼミ活動を進めています。
――なぜニュースを取り上げる形式にしているのですか?
大塩:学生の多くが、必ずしも最初から外国の出来事や歴史に強い関心があるとは限りません。けれど、海外の出来事に少しでも目を向け、自分なりの考えを持つことは、どんな分野でも役立つ力になると思ってます。だからこそ、身近なニュースを通じて学生の皆さんが世界とつながるきっかけをつくりたいと思っています。
――具体的にはどんな活動をするのでしょう?
大塩:毎回のゼミでは、学生に「自分が興味を持ったニュース」を選んでもらい、その内容を簡単にまとめてプレゼンをしてもらいます。その上で、「自分はそれをどう感じたか」「なぜそのニュースを選んだか」といった自分の意見も発表してもらいます。最初はどのようなニュースでもいのですが、プレゼンの回を追うごとに「法律に関するニュース」や「外国に関するニュース」など、テーマを変え、少しずつ、普段あまり意識しないテーマに興味を持ってもらおうとしています。
――発表は緊張しそうですが、大事な経験ですね。
大塩:そうですね。でも大切なのは、「正しい意見を言うこと」ではなく、「自分の考えを言葉にして伝えること」です。自分の言葉で話す力は、将来、どんな道に進んでも必要になりますし、「外国」や「他者」に目を向けることで、逆に自分や日本社会のあり方に気づくこともあります。
――言葉にすることは、自分を知る手がかりにもなるんですね。
大塩:まさにその通りです。「他者」や「異文化」を学ぶことは、自分自身を相対化することでもあります。世界の様々な出来事や歴史、そして現状を知ることは、今のグローバル社会や日本の課題について考える手がかりにもなります。そうした視点を、少しでもゼミを通して1年生のうちから身につけてほしいと思っています。
――最後に、この記事の読者にメッセージがあればお願いします。
大塩:「外国のことはよくわからない」と思っていても大丈夫。まずは一つのニュース記事、ひとつの出来事からでいいんです。そこで自分が感じたことを、言葉にしてみる。それが、学びの第一歩です。ゼミという小さな場だからこそ、安心して試せることもあるはずです。
――大塩先生、本日はありがとうございました。